森管工株式会社様のご紹介
1973年に創業した千葉県旭市の森管工株式会社様は、「すべてはお客様の笑顔ために。水を通じてお客様をより楽しく、より豊かに。」という理念のもと、地元の個人住宅、ビルや工場などの水回り設備工事、及び農業における施設園芸(ビニールハウス)の潅水・給排水設備工事を中心に手掛ける。管工事なら地元の旭市を中心に千葉県全域にて管工事、施設園芸の場合は全国から業務を請け負っている。
現場スタッフは6名で、営業活動は森管工社長の森貴之様が1人で担っている。工程管理なども一手に引き受けているため、業務に追われて経営計画などをゆっくり考える時間が少ないという課題があった。ANDPAD導入によって、それがどう変わったのか。森様に話を伺った。
工事の番号管理を仕組み化、忘れ、漏れ、ロスが無くなった
森様はかつて工程管理にエクセルを使っており、作成した表を紙で出力して社内に貼り、「これを見て作業しておいて」と指示を出していた。だが、それだと自分が遠方に出張した際に工程変更があっても、パソコンが手元にないと更新できず、情報共有がうまくいかなかった。
どうにかして遠方でも簡単に更新したり、指示したりできないか――。業務改善を考えていたところ、得意先の元請け企業がANDPADを導入していることを聞きつけ、「これならクラウドでいつでもどこでもリアルタイムで情報を更新できる」と考えた森様は即導入を決めた。
導入によって工程管理が一気に楽になった。工事は大小様々で、常に50件ほどの案件が同時進行している(取材当時)。ANDPAD導入前は、その50件を森様の頭の中だけで全て処理し、エクセルで更新していた。仕掛り工事は月50件ほどで、年間500~600件に上る。いつ、どこを工事すべきか記憶から漏れていたり、受けていた案件自体を忘れてしまい機会ロスになることもあった。だが、ANDPADなら案件を一覧化でき、どの工事がどこまで進んでいるか全ての工程が容易に分かるようになり把握漏れがなくなった。
ANDPAD導入前は請求忘れもあった。日報は付けていたが、工事を番号管理していなかったからだ。紙ベースで日報を毎日書いており、大きな案件だと日報の枚数が数十枚に上ることもある。とにかく紙で管理するという状態だったため、その紙がどこかに紛れ込んでしまうと請求書を作り忘れてしまっていた。森管工様はリピーターの工事が多い。顧客の中に大きな施設が1件あれば、そのお客様からは1年の内に何十回も工事が発注される。工事を番号管理してない時は、どれがどこまでの作業だったか分からなくなり、請求書を作成する時に混乱していた。また紙の時代から、日報には工事での使用材料に至るまで細く記していたが、それ故にいざ請求をかける際にぼう大な紙の資料が発生。森様がその紙の束に全て目を通していたため、「それだけで気持ちが萎えていた」という。
ANDPAD導入後は、小さな工事にも1つずつ全ての案件に番号を振るようにしてから、請求漏れがゼロになった。全ての工事を番号管理できるようになり、パソコン上で案件ごとに様々な検索をかけられ、抜け漏れを防止できている。
工事の番号管理がしっかりと形になり、番号管理するからこそ様々な忘れ、漏れ、ロスが無くなる。工程管理の改善、請求漏れ撲滅の2つがANDPAD導入の大きな成果だった。
「ブリーフケースがタブレット1つに」写真や図面の管理がしやすくなった
写真の使い方も劇的に変化した。社員にはどんな工事でも毎日、作業箇所を細かく写真撮影してもらっていた。例えば、個人住宅なら「スリーブを入れた」「水圧テストをした」といったポイントごとに撮影する。大きな案件なら、1件で写真が数百枚に上ることもある。
ANDPAD導入前は、その写真をチャットツールで個別にアップロードしてもらい、森様が自分のパソコン上で拾い出してフォルダ分けするなど作業負担が大きかった。また、写真をきれいに整理できず、せっかく撮影したのに利活用できないケースもあった。例えば、100枚撮ったら50枚以上がどのフォルダにあるのか、どの場所のいつの写真なのか分からなくなる、そんな状況も発生していたのだ。
森様が農業施設の案件を手掛ける時は、会社から離れることが多い。ANDPAD導入前は時間がなくて写真を確認しきれず、かと言って失敗もできないため後日、自ら現場に確認しに行かざるを得ないようなこともあった。
ANDPAD導入後は、全ての写真をくまなく利活用できるようになった。その日の現場写真がANDPADにアップロードされると通知が来るため、どこにいても現場をすぐに確認でき、何かおかしいと感じれば「施工要領が間違っていないか」といった連絡がすぐにとれる。品質管理に対する効果が抜群に発揮され、現場に行く移動時間が大幅に削減された。
図面の管理も楽になった。図面の数が一番多いのはビルなどの大型建築物だが、そうした現場は設備が整っており現場事務所もあるため、そこまで図面管理に苦労していなかったが、問題は農業案件だった。現場事務所などはなく、しかも土地の面積が広い。全体が入る図面を作ろうとすると、縮尺が300分の1などになるため、A1サイズで出力しても字がとても小さく読めない。なので、以前は300分の1、100分の1、50分の1、30分の1などいくつかの縮尺パターンを作成し出力していた。
しかも、現場で雨が降って図面が濡れようものなら、字がにじんで読めなくなり途端に作業できなくなる。以前なら、森様が社内からSNSで現場の社員に送り直し、それを社員がコンビニで印刷するなど手間がかかっていた。保存に関しても、以前はメモアプリを使っていたが分類がうまくできていなかった。
そうした問題がANDPADで全て解決した。図面を案件ごとに管理でき、さらにエリアごとに細かく分類し、全てクラウド上に保存できる。拡大、縮小も容易で図面を細かく縮尺する必要もない。図面が途中で濡れたり、紛失したりする恐れもない。
「大きなブリーフケースをタブレット1つにまとめて持ち歩けるイメージ」(森様)で、しかもデータを全ての協力会社とリアルタイム共有できる。そのため出張時の荷物がかなり減った。以前は、キャリーバッグにパソコン、図面、タブレット、ノート、筆記用具などを詰め込んで持ち運んでいたが、今はタブレットとスマホさえあればほぼ何でもできる。
クリエイティブなことを考える余裕ができ、新たな事業展開へ
ANDPAD導入をきっかけに社員の中で「自分たちで工程管理しよう」という風潮が出てきた。いずれは工事担当者制を敷き、各担当が工程管理をできるようなプラットフォームとしてANDPADを位置づけるのが目標だ。
これまで社員はただの現場作業員だったが、担当者制にすれば、社内に小さな会社がいくつかできるイメージになる。普通の独立と違うのは、完全独立だと経営のみならず、日中は現場作業、帰社したら見積書や請求書を作成するといった事務作業も行う形になり雑務が増えてしまう。そこでANDPADを基軸にして、社員を社内起業家のように育てる。ANDPADを使うことで、そんな社員教育の姿が見えてきた。
ANDPADを使うことで、日々の雑多な作業がなくなり、森様が経営計画を考えるクリエイティブな時間ができた。自社の強みである水道設備工事と農業施設に対する知識や技術を活かし、新たな2本柱の事業の発想が生まれた。
森管工様が手掛ける農業用潅水設備工事は、水耕栽培を進化させた最先端技術を用いている。土の代わりとなる「培土」の上で主にトマトを育てるものだが、自然の土で育てるような経験値や長年の勘に頼るのではなく、水量などを計算したデータに基づき配管などを設計・施工する。
その技術をより発展させ、空きビニールハウス問題の解決に乗り出す。現在、全国の農業就業人口は毎年10万人ずつ減っており、中にはビニールハウスを維持できなくて廃業した人がかなりいる。その多くが野ざらしになっている。
そこで状態がいいビニールハウスを活用し、新たに農業を始めたいという人たちに対して森管工様が就農支援するのだ。新しく農業を始めるには、ビニールハウスを新たに建てたり設備投資が必要だが、森管工様が提案するスキームなら投資額を半額以下に抑えられるという。
また“地元の水道屋”としての軸足をぶらさないため、顧客の会員制(サブスクリプション)も検討している。これまでのお客様をしっかりANDPADで管理し、希望者には会員になってもらって年会費に見合ったサービスを提供する。また、浄化槽の保守や浄水器のフィルター交換など適したタイミングで顧客に通知が届くようにしておき、お客様へ先手をうつサービスを提供できるようにする予定だ。そうした管理もANDPAD上で簡単にできるため、実現が見えてきた。
こうした発想が生まれたのも、ANDPADのシステムやビジネスモデル自体が大きなヒントになったからだ。単なる業務改善に止まらず、「経営計画の新たな発想という点でもANDPADを導入した意義は大きい」と森様は話す。創業50周年という節目に向けて大きく飛躍しようとしている森管工様の今後に注目だ。