みやこリフォームの屋号で京都市内を中心に亀岡市や宇治市、滋賀県大津市で事業を展開するオガワ(京都府京都市)は、風呂やキッチンなどの水回りリフォームからマンション・戸建ての全面リノベーションまで手がける。現在2店舗を構え、YouTubeやWEBを活用した集客も行っており、年商2億2000万円を売り上げている。
2022年より建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を導入。件数の多いリフォーム工事管理をANDPADで効率化し、さらなる売上拡大を目指す同社の取り組みについて、小川 剣人常務取締役、工事課 太田 利直課長に話を聞いた。
従業員の増員を契機に現場管理システムを導入
同社は、2019年から小川部長が1人で現場管理をしていたが、売上拡大に伴い2021年に太田課長が入社した。当時は年間約50件の工事を表計算ソフトで管理しており、2人で操作すると日にちや曜日がずれて祝日に予定を入れたり、職人を同じ日に重複して差配するなどのトラブルが発生していた。さらに従業員を増員すると、更新漏れなどのミスがこれ以上増える危険性がある。そこで、「ANDPAD」の導入を決めた。
「ANDPADを導入して、最初に実感したのはミスが減ったことでした。想像以上に操作性がよく、工程表は作成しやすい。工程表は職人別にもソートできるので、同じ日に職人がかぶることはなくなりました」(太田課長)
現在は、職人との連絡手段にもANDPADを活用している。協力会社への導入においては、小川部長は「アンドパッドの担当者が京都で協力会社向けの説明会を開いてくれました。おかげさまで、多くの職人がANDPADを使えるようになりました」と振り返る。従来は個別に連絡したり、プロジェクトごとにグループチャットを作成していたが、ANDPADのチャット機能により、簡単に情報共有できるようになった。
「特に、職人への現場住所やキーボックスの位置、現場状況の共有が楽になりました。共有された現場写真を見ておかしいと感じたら現場にいる職人にすぐ連絡し対処も可能です。現場に行かなくても現場の状況を管理できるようになりました」と太田課長は話す。
横断マイルストーン機能の活用で実務者が自律してタスク管理できる環境に
同社が重宝しているのが、「ANDPAD」の横断マイルストーン機能だ。マイルストーンとは、プロジェクトに対して段階的な目標・期限を設定し、進捗状況の管理をしやすくするもの。横断マイルストーン機能では、見積もり提出期限、顧客への連絡期限、工事申請書の提出期限などのタイミングで自由にマイルストーンの項目を設定でき、記入すると、マイルストーン毎の締め切りが一覧になって表示される。
前職がシステムエンジニアだった小川部長は「IT業界では、自分自身でいつまでに何をするといったタスク管理は当然です。しかし、現在の建設業界はその環境作りができていない企業も多い。タスク管理不足により問題が後々発覚すると、追加の作業が発生するだけでなく顧客の信頼を失いかねません。入社した際に、この問題に関する危機感の小ささに違和感を抱きました」と業界の問題点を指摘する。
同社で現在、横断マイルストーン機能を活用して、実務者が案件の全体像を把握・管理できる体制を整えている。営業、現場と担当者が切り替わるタイミングに合わせて、契約前までを”営業管理”とし、案件が内定した時点で”工事管理”に切り替え、管理している。「登録内容や作業期間の設定が従業員によって違いがあると困るので、入力する際のルールは細かく社内で決めています」(小川部長)
例えば、営業管理においては見積もり提出を1週間以内、顧客への連絡は3日前と決めている。工事管理では工事工程表には書かれない、現場外で必要になる作業の把握やタスク管理に役立つ。発注書や申請書提出などの項目を設定し、こうした項目すべてを横断マイルストーン内で管理している。設定した期限を過ぎると赤くなり、漏れが一目で分かる。
現場担当者は横断マイルストーンでのタスク管理が習慣化しているという。就業前に毎日横断マイルストーン機能をベースとして工程表やANDPADチャットなど、各案件の状況を確認している。
提出漏れ、確認漏れなど、課題が見つかる度にマイルストーンの項目に反映している。最近では補助金申請書類の提出の項目が追加されたという。このように、ANDPADを用いて現場監督が自律して期日やタスク管理できる環境づくりを徹底してきた。その結果、申請書の提出忘れや発注漏れといった問題は激減したという。
「トラブルが起きると、どうしても叱責しなければならないタイミングがある。逆にいうと、トラブルが起きなければ叱責することはありませんので、経営側も従業員もストレスが減ります。こうしたことが快適な仕事の環境作り、長い目で見れば離職率の低下に繋がります」(小川部長)
太田課長も「案件の全体像が見通せるようになりました。この作業は今やらなくても大丈夫と思えると気持ちが楽になります。次の日にやるべきこともわかりやすいので、スケジュールを効率よく組み立てられるようになりました」と、自身のタスク管理能力の向上とともに、業務効率が改善されたことを実感している。
売上3億円を目指す
DXツールの導入費用を負担に感じるリフォーム会社も少なくない。これについて、小川部長は「発注漏れや職人の重複など、1つ業務ミスが数万円の損失に繋がります。このようなミスがなくなり業務が改善された時点で、費用対効果は十分にあると考えます。事業拡大を目指すならばDXは必須になるだろう」と説く。
今後小川部長は自身のエンジニアスキルを生かし、自動見積もりシステムの自社開発にも取り組む。紙で運用している現場チェックシートをWEBシステムで完結させ、手間の多い見積もり作成の効率化を目指す。
先鋭的な視点から現場管理の効率的な体制作りを構築し、同社は売上3億円を目指す。
みやこリフォーム(株式会社オガワ)の紹介
みやこリフォーム(株式会社オガワ)
https://www.miyako-reform.co.jp/
「みやこリフォーム」の営業部長小川剣人氏の営業・現場管理ノウハウを完全収録した「リフォーム営業・現場管理最強マニュアル」がリフォーム産業新聞公式サイト、リフォームブックスで発売中
https://www.r-books.jp/view/item/000000000088
(リフォーム産業新聞online 2025年1月20日掲載記事の転載)