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写真管理業務を大幅軽減、残業時間を半減、ANDPADが貢献

星野管工株式会社 様
従業員規模 21〜50名
利用機能
課題
  • 写真管理が現場監督の負担になっていた
  • データの管理が属人化していた
効果
  • 工事部の残業時間が、一人当たり月間20時間は短縮
  • ANDPAD黒板の活用で、写真管理業務を大幅軽減
  • 現場データが共有できるようになり会社の財産に

導入事例について詳しく知りたい方は、お問い合わせください。

月より建設業にも残業時間の上限規制が適用され、いわゆる「建設業の2024年問題」が始まっている。だが地域の空調・冷熱設備工事会社において、万全の準備を整えてこの時を迎えられたところは、そう多くはないだろう。鍵を握るDXツールに関しては、様々なツールが乱立する中、自社に最適なツールはどれなのか、導入後のサポート体制はどうなっているのかといった、導入の判断材料が見えづらいのではないか。その意味では、身近で具体的な導入事例が一番参考になりえると考えられる。本稿では、群馬・桐生の地に根付いた空調・給排水衛生設備会社である星野管工(社長=星野尚香氏、本社・群馬県桐生市広沢町五丁目1449)のDX化の事例を紹介する。導入したのはクラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」(開発・販売元=アンドパッド〈社長=稲田武夫氏、本社・東京都千代田区神田練塀町300〉)。特に現場写真の管理業務の大幅な効率化を実現しており、その他の様々な取り組みとあわせ、残業時間の半減に成功した。

黒板付き写真撮影を高評価、現場データを共有化、会社の財産に

昭和3年(1928年)3月3日に創業した星野管工は、96年にわたる歴史を有している。同社は、住宅や業務用建物の空調設備や給排水衛生設備の工事、また浄水場や下水処理場等のプラント設備工事、各種設備の修繕・メンテナンス等を展開。営業エリアは桐生市内を中心に、隣接する太田市、みどり市、栃木県足利市など。同社が手掛ける仕事のおよそ半分は公共案件。仕事の種類としては、公共案件や桐生市内企業からの依頼等の元請案件が7割を占める。地元の建設会社等の協力案件も3割ほど。地元建設会社からは設備工事を設計から任されることも多く、その技術力・対応力に信頼を寄せられている。現在の社員数は28名。ここ数年で、熟練社員から若手社員への世代交代が進んでいる。

ANDPADを導入したのは2022年初頭。同社にとってANDPADは、働き方改革の最初の一手となった。当時、働き方改革の気運が高まる中で、同社営業事業部の牧佑一次長が自身で探し出した。牧次長はANDPADに二つのことを期待した。一つは現場監督の負担となっていた写真管理業務の軽減。ANDPADはスマートフォンやタブレットで黒板付き写真の撮影が可能であり、撮影と同時に案件ごとのフォルダに保管・整理される。その写真を利用してアプリ上で報告書の作成も可能。これまでは、その日の現場作業が終わった後、会社に戻り写真を整理し、報告書を作成していたが、ANDPADならばそうした作業は不要になる。もう一つは資料や図面等の現場データの共有化。それまで同社は社員各自のPCに現場のデータを保管していたため、仮に誰かが辞めれば、その人が持っていたデータは失われていた。社内のサーバーに保管したデータもあるが、管理のルールが定められていなかったため、有効活用できない状態にあった。ANDPADであれば、案件ごとのフォルダに現場データが保管されるため、担当者以外でもその案件フォルダからデータを確認できる。これら二つの課題解決を見込み、ANDPADの導入を決断した。

実際に導入した効果は非常に大きかった。牧次長は、特に「黒板付き写真撮影の使い勝手が良い」と話す。牧次長は、自身も以前は工事部だったこともあり、黒板を現場に持ち込み、そこに情報を記入して写真を撮影することが、いかに手間かを知っている。「配管は高所に敷設することが多いため、(黒板の持ち手と撮影者の)二人でないと撮影できなかったが、ANDPADは一人で撮影できる」と牧次長。近年では自撮り棒の先端に黒板を取り付け、それを撮影する手法が一般化しているが、黒板に何度もチョークで文字を書くため、そのうちに黒板も汚れてくる。更に、現場は暗いことが多いが、フラッシュを焚くと黒板が光ってしまい、文字が写らないことも多い。ANDPADは、こうした黒板写真に関わる様々な問題を解決しており、牧次長はその点を高く評価している。同時に、写真の整理業務についても、以前は毎日整理する時間が取れないことも多く、中には1千枚以上溜まってから整理するケースもあり、膨大な時間が掛かっていた。ANDPADならば写真は自動的に整理され、そうした整理作業は不要であり、残業時間の大幅削減に繋がっている。

また現場データの共有化については、将来的な活用が期待できる。現場データは新築工事から10年、20年経ち、改修工事等を行う際に必要になる。当初の工事内容を遡ることができれば、スムーズに改修工事等に繋げられる。共有化されたデータは将来的に会社の財産になると見られる。

手厚いサポートで社内浸透、官民連携伴走型支援事業の成果に寄与

現在、星野管工では工事部、メンテナンス部ともに、現場作業者の間でANDPADの利用が浸透している。当初は新しいツールに抵抗感を示す社員も多く、使用を呼び掛けても、なかなか使ってもらえなかった。アンドパッド社では、ANDPADの運用にあたり、導入企業内に社内浸透の協力者となる「推進者」を立ててもらい、その推進者と二人三脚で社内浸透を進めている。星野管工の場合も、牧次長が推進者となり、アンドパッド社の担当者が積極的に会社を訪問して社内の浸透策について相談したり、説明会を開催したりと手厚いサポートを行った。一度使ってもらえさえすれば良さを分かってもらえると考え、強制的に使用してもらう場面を用意したり、新しいツールに拒否感のない若手に積極的に使ってもらい、彼らから年配の社員に広げてもらったりもした。こうした様々な手法を通して、今ではANDPADの使いやすさに理解を示す人も増えてきている。

このようにアンドパッド社は、導入後のアフターサポートを重視している。同社は常に困りごとがないかを星野管工に尋ねているため、同社側としては意見を出しやすい。同社からの機能改善等の要望に対してもレスポンスは非常に速い。例えば以前は、オフラインでの黒板付き工事写真撮影はできなかったが、今ではそれも可能になった。

今後も星野管工はアンドパッド社に、使い方を含む様々な相談をしつつ、更なる効率化を目指していく。そしてゆくゆくは協力会社にも利用を広げ、現場情報の共有化等による効率化にも繋げていきたい考えだ。

ANDPADの社内浸透のプロセスと同時に、星野管工は2022年度から23年度にかけて、関東経済産業局が推進する「官民合同企業支援チーム」伴走型支援事業の採択を受け、同局や桐生市、商工会議所、民間のコンサル会社と共に働き方改革に取り組んだ。この事業は、官民合同チームが企業の課題解決を伴走型で支援することで、事業終了後も企業が自身でPDCAを回していけるようにすることが狙い。同社は牧次長をリーダーとする働き方改革チームを立ち上げ、1年半にわたり、ANDPADを含む様々な取組を進めた結果、残業時間を前年比で50㌫削減することに成功。牧次長と共に働き方改革を推進してきた同社総務課の水谷ひさの課長は「工事部の残業時間は、一人当たり月間20時間は短縮されている。その半分程度はANDPADによる写真整理の効果ではないか」とその効果の大きさを指摘する。

ANDPAD以外の取組として大きなところでは、安全書類の作成をシステム化したこと。これまでは各現場監督が毎回書式の異なる安全書類を作成していたが、今回、バックオフィスに安全書類作成の専任者を設けた。これにより現場監督の残業を減らすと共に、安全書類の書式も統一化し、効率化を図った。加えて、各社員の残業時間を貼り出して見える化し、社員の意識改革を促したほか、上司より先に部下が帰れるような雰囲気の醸成にも努めた。

このほか、ここ2〜3年はITの専門コンサルの協力を得て、少しずつITの有効活用も進めている。例えば、入札案件が公表されると、自動で担当者にメールが飛ぶ仕組みを構築し、出先でも重要な情報を確認できるようにした。更に、オフィスソフトのクラウドサーバーも導入し、どこにいても事務作業ができる環境も整えている。

星野管工の経営理念は「共に生きる」。これは同社のミッション(使命・存在意義)である「水と空気と共に生きる暮らしを支える」に、具体化されている。水は山が涵養し、空気は植物の光合成により生み出されている。にもかかわらず、これまで人間は、人間の利便性を優先し、山を削り、植物を伐採してきた。もはやそうした人間本位の開発を続けていては、社会は持続できない。そうした現状認識に立ち、顧客、社員、協力会社が共に生きていく基盤となる、地球環境や地域社会を、事業を通じて支えていく。これを実現し続けるために、同社は会社の存続を重視している。

会社の存続のためには、社員が働きやすい環境を整えなくてはならない。その意味で、ANDPADが同社において果たしている役割は、決して小さくはない。

(空調タイムス 2024年 6月 5日号 掲載記事の転載)

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