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ANDPAD施工管理とANDPADボードを活用して情報を可視化。業務効率化と見積もり精度向上を実現し、粗利率の4%上昇にも寄与

デグチ工業株式会社 様
従業員規模 21〜50名
利用機能
課題
  • 手書きの日報の記入漏れや紛失が発生。日報の取りまとめが煩雑で、経理担当者にも負荷がかかっていた
  • 工事状況や人員配置を会社全体で共有できておらず、適切な人員配置や調整に苦労していた
  • 紙の日報では、ひとつの現場に何人が関わったのかを調べるのが困難だった
効果
  • ANDPADの報告機能により出面管理が効率化され、経理担当者の残業が3分の2ほどに減少
  • ANDPADボードで現場の状況を可視化。人工調整に関わる電話連絡が3分の1ほどに減少
  • データ集計・分析が可能になり、見積もり精度が向上。粗利率が4%上昇

導入事例について詳しく知りたい方は、お問い合わせください。

デグチ工業株式会社のご紹介

デグチ工業は、山口県下関市を拠点に、多種多様な物件の鉄筋工事を手がけている専門工事会社だ。工場での鉄筋加工から現場での組み立てまで行う自社一貫体制を整え、1951年の創業以来70年以上にわたって地域のまちづくりやインフラ整備を支えている。

業界に先駆けて、ITやロボットを積極的に導入し、生産性向上を目指しているのが同社の特徴だ。この取り組みの一環として、2023年にANDPAD施工管理ANDPADボードの運用を開始し、「人員配置」と「出面管理」の強化を図っている。

今回は、デグチ工業株式会社 代表取締役社長 手島健一様、専務取締役 手島信洋様にインタビューを実施。ANDPAD導入前の課題や導入後の変化から、鉄筋工事業の未来を見据えた同社の活動まで、幅広くお話を伺った。

デジタル技術や最新工法を積極的に導入する先進企業

同社は、基礎工事用の配筋材料から柱、梁、壁、スラブなど、鉄筋コンクリート造に用いられる多種多様な鉄筋を自社で加工し、現場での組み立ても一貫して行っている。年間出荷量は、3,000~4,000トンほどで、施工エリアは山口県中部・北部・福岡県の一部と幅広い。また、得意先も地場ゼネコンや工務店から、スーパーゼネコンまで多岐にわたるという。

「集合住宅・学校・介護施設・店舗等の建築工事、住宅の造成工事・擁壁工事、橋台・橋桁・道路の床版等の土木工事など、多種多様な現場に携わっています。鉄筋工事業を営む会社のなかには、建築・土木いずれかに特化している会社が多いですが、当社は地域のニーズを取りこぼさないように、オールマイティに対応しています。」(手島健一様)

従業員24名という少数精鋭で、お客様から寄せられる要望に応えていくために、同社は以前からデジタルや最先端技術の活用に力を入れている。鉄筋の製造工程においては、積算から運搬までを一元管理できる専用システムを導入。分業によって生まれるロスをなくし、最適な数量を正確にお客様のもとへ届ける生産体制を整えている。

近年では、工場で組み立てた鉄筋を折りたたんだ状態で運搬し、現場で立体的に復元していく「鉄筋ジャバラユニット工法」の施工も開始。実際に、スーパーゼネコンの現場に採用され、工期短縮や現場での省人化を実現している。そのほかにも、最新の鉄筋加工機、鉄筋結束作業を自動化するロボットも導入。次々に最先端技術を取り入れる理由について、手島社長に伺った。

「人手不足が叫ばれる業界において、社員が長く活躍できる環境を整えることが、最終的にお客様の要望に応えることにつながると考えています。ですから、当社は社員の負担を軽減するためにも、最先端技術を積極的に導入しています。」(手島健一様)

左)本社の敷地内に併設された加工場、中)自走式鉄筋結束ロボット「トモロボ」、右)細物鉄筋を自動で加工できる「自動鉄筋スターラップ曲げ加工機」。

紙の日報提出によって出面管理が煩雑化

同社では、主に工事部に所属する鉄筋工が現場作業を行っており、どうしても手が足りないときや遠方の現場のときだけ、協力会社に依頼をかけている。そんな同社の課題となっていたのが、「出面管理」と「人員配置」だった。まずは、「出面管理」においてどんな課題があったのかを伺った。

「以前は、鉄筋工が書いた日報を職長がまとめ、月末に本社へ報告を上げていました。その報告の書面をもとに経理担当者が別の紙で集計をし、そこから社員の給与計算も行っていました。ただ、記入漏れや紛失があったり、月末の締め日を過ぎても職長からの報告がなかったりと、経理担当者が確認しなければならない手間が多く、業務が煩雑化していました。」(手島健一様)

そんなとき手島社長は、同社が所属している全鉄筋(全国鉄筋工事業協会)が発刊している機関誌に、ANDPADの活用方法が掲載されているのを目にしたという。

「ちょうど同じタイミングでアンドパッド担当者からも電話をもらい、一度話を聞いてみることにしました。知り合いの同業者もANDPADを活用していると聞いていましたし、アンドパッドは全鉄筋の賛助会員にもなっていますし、導入を決めました。」(手島信洋様)

ANDPADの報告機能を活用、経理担当者の残業が大幅減

同社は、出面管理を効率化するために、ANDPADの報告機能の活用をスタート。現在では、鉄筋工一人ひとりがANDPADから日々の業務報告を行っているという。

「現在は、社員がANDPADで上げた報告をもとに出面管理を行っています。日報の内容は表計算ソフトにもエクスポートできますので、そのシートで各現場の人工の集計や、個人の作業実績の集計が簡単にできるようになりました。入力の抜け漏れにもすぐに気づけるので、経理担当者の月末作業が大幅に効率化し、残業は3分の2ほどに減ったと感じています。ペーパーレスで運用ができるのもメリットです。」(手島健一様)

また、ANDPADでの資料共有・工程表の活用も進んでいるという。

「案件の受注が決まった後、まず職長がお客様と打ち合わせを行いますが、以前はその内容を水平展開できておらず、情報が属人化していました。現在は、ANDPADに案件を作成して、打ち合わせ内容を細かく記載した『打ち合わせチェックシート』をアップするようにしています。現場の入場時間やルール、安全や品質の情報など、誰でも現場の詳細がわかるようになりましたし、工程表を見れば今後の予定や進捗状況もわかるようになりました。工程表には、元請け各社が実施している安全衛生協議会の資料も差し込んでいます。今まではFAX送信や確認の手間がかかっていた資料もすぐに閲覧できるようになって便利です。」(手島健一様)

全体の状況が把握できず人員配置が困難に

次にもうひとつの課題であった「人員配置にともなう段取り」について見ていこう。

同社が携わる現場の工期は数日〜1年までと幅広く、途中に他の工種が差し込まれたり、天候による工期遅れが発生したりと、人員配置の判断が難しい。さらには、必要となる人工を把握しているのが職長のみで、全体での情報共有ができていなかったという。

「全現場の工事状況や人工はスプレッドシートで管理していましたが、職長は自分の現場の段取りを紙で管理しており、『どの現場にこの日何人必要なのか』というのが全員で共有できていませんでした。数日前になって職長から必要な人工の連絡が入り、本社で人員配置を考えていたのですが、工期遅れなどで現場の優先度が変わると、人が足りない現場が出てきて調整に苦労したり、緊急で協力会社を探さなければならないことがありました。『あの現場で人が足りない』となっても、職長も自分以外の状況がわからないので、お互いに助け合うのが難しくなっていました。」

ANDPADボードの運用によって人員配置を効率化

そこで同社は、ANDPADボードの導入を決定。以前から利用していたスプレッドシートと併用して鉄筋工の稼働状況を見える化した。現在は、職長がANDPADボードの案件カレンダーに少なくとも1週間前には必要な人工を入力しておき、手島専務が日々変化する現場の状況を確認しながら人員配置を行っているという。

ANDPADボードで現場の状況を見える化したことで、人工の調整がしやすくなりました。直近1週間の予定がわかるようになったため、職長との電話でのやりとりが少なくなり、電話の数は3分の1ほどに減りました。全員が全現場の必要人工を確認できるので、人が足りない現場、工期が迫っている現場もお互いにわかるようになり、最適な人数を配置することが可能になりました。」(手島信洋様)

データ集計・分析が可能になり、見積もり精度が向上

ANDPAD施工管理ANDPADボードの導入後、残業や電話でのやりとりが減ったという同社。それ以外にも、この2つを組み合わせて運用するうちに、「思ってもいなかったメリットがあった」とお二人は話す。

「ANDPADでの出面管理と鉄筋の積算・生産管理を行う専用システムを照らし合わせることで、一人当たり現場で何トン分の作業ができたかを算出できるようになりました。現場での成績の把握にも役立っていますし、拾い出しをした数量と実績を比較することで、見積もりの精度も高めることができています。PDCAの『C』の部分ができるようになって、お客様からの信頼度もより高められるのではないかと期待しています。今後は自主検査にANDPADを活用することも検討しています。」(手島健一様)

「紙の日報では、ひとつの現場に何人が関わったのかを調べるのが困難でしたが、ANDPADを使えば即座にデータが取得できるようになりました。コロナ禍が落ち着き、業務がスムーズに進められるようになった影響もあるとは思いますが、ANDPADの導入後、粗利率が4%上昇しています。今まではできなかったデータ分析や経営戦略の立案に、ANDPADを活用できているのは思ってもいなかった収穫です。」(手島信洋様)

鉄筋工事業の未来を担う人材の育成に力を入れていく

業界内でも先駆けて、デジタル活用や最先端技術の導入に取り組み、たしかな成果を上げている同社。今後は「人材育成に注力していく」とお二人は力強く話す。

「当社の敷地内に鉄筋工の育成センターを作ろうと考えています。難易度の高い鉄筋の拾い出しについて、職長が若手にマンツーマンで教えるPCルームや、足場での高所作業・現場での組立作業を経験できるようなスペースを備えたセンターにする予定です。今後予想される人手不足に対応するためには、私たちがいかに早く職長を育てられるかがキーポイントになってきます。今後はANDPADに蓄積した写真や実績も、若手を育てていくための『生きた教材』として活用していきたいです。」(手島健一様)

「災害大国である日本において、私たちが担う鉄筋工事業は、減災のための基礎工事や被災時の復興に欠かせない重要な役割を担っており、今後も必要とされる事業です。ですから、2017年からは外国人技能実習生の受け入れも行い、国内外問わず私たちの技術をしっかりと次の世代へ受け継いでいこうと取り組みを進めています。今は、実習生たちもANDPADの報告機能をスムーズに使いこなしていますが、今後彼らをサポートするような機能がANDPADに備わったらより嬉しいですね。」(手島信洋様)

自社だけではなく鉄筋工事業界全体の未来を見据え、人手不足解消に向けた取り組みを開始している同社。今後もANDPADを通じて、同社の活動をサポートしていきたい。

 

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