2021年9月22日、アンドパッドが施主となり「数年先に実現する設計・施工のDX」を検証する「ANDPAD HOUSE」にて、MR技術(※1)を活用した中間検査を実施、構造躯体である耐力壁の位置や釘・柱・梁の位置や寸法などをリモートで検査した初の取り組みになります。本取り組みは、株式会社アンドパッドと確認検査機関である株式会社住宅性能評価センター2社の共同の取り組みになります。
社会的背景
法律に基づいた検査は、建築基準適合判定資格者によって検査されます。しかし、資格者のうち50代以上が全体の75%以上を占めるという高齢化の問題も抱えており (※2)、検査の効率化は急を要す課題となっています。
今回は中間検査不要の物件だったことで、リモートで実施することをが可能となり、国でも検討されているリモートでの中間検査の可能性を検証しました。
検査の様子
GyroEye Holo とSafie Pocket 2 という2つのツールを用い、実際の現場に3Dモデル(構造、意匠)を投影し、その視点を遠隔地にいる検査員に共有、検査結果をANDPAD図面へ記録しました。
現在、中間検査はリモートの実施は認められておりませんが、ANDPAD HOUSEは中間検査の対象外の物件のため、実証実験としてリモートで実施、検査内容を今後の知見として活用いたします。
検査員(リモート)
検査員がリモートから参加。画面を確認しつつ、ANDPAD 図面に検査結果を書き込む。
検査現場
GyroEye(iPad)とSafie Pocket2を使い、現場を撮影、検査員と会話しながら検査を進行。
MR画面
実際の現場と検査用図面を投影、MR上で図面の濃さを自由に変更することができる。
ANDPAD 図面(β版)
検査員はリモートで現場を確認しながら、ANDPAD図面上に検査結果・是正内容を記入。後日、現場監督がその指示を確認し、図面に写真を添付することで確認作業を行える。是正結果もすぐに検査員がANDPAD上で確認できる。
中間検査を終えて
住宅性能評価センター
- 機材の性能が向上したことにより、実地での現場検査と同等な視野が確保できている印象。これが実用化されれば、検査資格者が現場に移動する時間が短縮され、より多くの現場検査が期待できる。
- 今回検査自体は、通常の4倍の時間を要してしまったが、検査順を決めておくなど運用ルールの工夫で効率化を図れる。
- 接合金物が緩んでいるなどの施工の不具合をどのように見つけるかは今後検討しなくてはならない。
アンドパッド
- 検査の様子を全て動画で記録できるため、検査結果の詳細をいつでも確認することができるのは良い。
- 現場監督の立ち位置がリアルタイムにわかるとより現場把握に役立つ可能性がある。
■ 今回使用した製品
GyroEye Holo (MRグラス、iPad)
提供:(株)インフォマティクス
詳細:https://www.informatix.co.jp/gyroeyeholo/
Safie Pocket2
提供:セーフィー(株)
詳細:https://safie.link/campaign/lp-pocket/
※1 MR(Mixed Reality(複合現実))とは、専用のMRディスプレイを用いることにより、仮想的な物体の実物が目の前にあるかのように映し出すことができる技術です。
※2 https://www.mlit.go.jp/common/001205303.pdf
■ 本件に関するお問い合わせ先
株式会社アンドパッド 広報部
TEL:03-6831-4550 Email:pr@andpad.co.jp