東北電化工業株式会社のご紹介
東北電化工業株式会社は戦後直後の1945年、山形市で創業して以来、約70年にわたって電気工事業を手掛けてきた。現在、山形県内外に17拠点、社員約380人を有する。関連会社12社、協力会社80社と共に、一般家庭から大型工場、公共インフラに至る電気工事、管工事、電気通信工事、消防施設工事、機械器具設置工事を担っている。そんな同社の山形支店は社員が80人おり、その内、故障修理をメインとする「CSグループ」は社員17人、協力会社2社の体制で年間3000件前後の案件に対応している。
そんなCSグループでは従来、工務担当や工事担当のスケジュールをホワイトボードで管理していた。しかし、そこには様々な課題があり、業務の効率化が阻まれていた。2021年にホワイトボード管理からANDPADボードに移行した経緯と背景について、同社山形支店 施工1グループリーダーの鈴木様、同支店CSグループ係長の吉田様と主任の増川様に話を聞いた。
担当者の空き時間が読めず、効率的な人員配置が難しかった
ホワイトボードでスケジュール管理をしていた時は、CSグループの工務担当(現場監督)の名前や担当現場などを記入し、当日の作業予定を午前と午後に分けて書いていた。
中には1時間で終わる作業もあり、午前中だけで複数の現場に行くこともある。そのため、1日の全ての予定を書ききれないことがあった。また、半日単位で予定を書いていたため、作業が1時間で終わった後の担当者の空き時間が分からず、効率的に配置できないという問題があった。
予定が正確に記入されているかどうかの確認作業も難しかった。工務担当がホワイトボードにない現場に行っていたケースもあり、その場合は電話でどこにいるのか確認するという手間が発生していた。
加えて、スペースの問題で1カ月分の予定しか書けず、それより先の予定は記入できなかった。しかし、実際にはお盆などの長期休暇の時期に工事の予約が入るなど、最長で半年先の予定が入ることもある。先の予定は工務担当の頭の中か手書きのメモにしかなく、事前の情報共有が難しい状況だった。
1カ月以上かかるような長期工事の予定については、矢印(←→)を使って1日から月末までの間をまとめて「この間は工事予定あり」と記入している工務担当もいた。しかし、実際には期間内で1日や2日ほど予定が空いていることもあり、その空き時間に別の仕事をしてもらう機会を逃していた。
他にも、勤務報告書と照らし合わせて10日ごとに終了した現場の予定を消して、新たな予定を書き込んでいたため、過去の予定が削除されると、いつどんな工事をしたか履歴がわからなくなることがあった。その場合、過去の日報をさかのぼって検索するなど、確認に時間がかかっていた。
時間単位の精密なスケジュール管理で受注機会が増加
ANDPADボードの導入により、何件でも細かく予定を入力できるようになり、ホワイトボードへの手書きによるスケジュール管理の問題を解消した。
以前は工務担当者がスケジュールを調整する際、外出していると会社にいる誰かにホワイトボードを確認してもらったり、わざわざ会社に戻って確認する必要があった。
しかし、ANDPADボードを使うことで、外出先でもスマートフォンから直接空き時間を確認できるようになった。これにより、関係者全員が先の予定を把握できるようになり、手の空いている工事担当者の手配も著しく効率化された。
ホワイトボードでは矢印で予定を書いていたため、すべての日程が埋まっているように見え、隙間時間が分かりにくかったが、ANDPADボードの導入でそれが解消され、時間単位で細かく予定が把握できるようになった。その結果、「以前はスケジュール調整が難しく断っていた案件も、工事担当者の隙間時間の見える化で、調整がしやすくなり、受注が増えた」と鈴木様は話す。
また、予定の共有と確認が容易になり、外出中でもスムーズに顧客からの問い合わせに対応できるようになった。以前は、ホワイトボードの予定が正しいかを確認し、その後工務担当者にも確認してから工事担当者のスケジュール調整をしていた。しかし、ANDPAD導入後は、予定日と工事時間の目安がずっと先まで記入されているため、確認が簡単になった。
そのため、事務担当者が顧客と電話で話している段階で、ANDPADボードを見ながら工事スケジュールを迅速に決められるようになり、顧客満足度の向上にも寄与している。
ホワイトボードを使っていた時は、記入方法がルール化されておらず、工務担当者がそれぞれの書き方で予定が分かりづらく、判読もしづらくて管理者が困っていた。ANDPADボード導入に当たり、その改善を試みたが、ルールを厳格にすると使われなくなってしまう恐れがあった。
そのため、予定を入れる際は「色分けする」という簡単なルールにした。例えば、工事関係(3日以内)は赤、現場調査・見積もりは緑、研修・工事以外の予定はグレー、3日以上の長期予定は紫といった具合だ。半日の現場調査が入った場合は、緑の予定が入っている人から優先的に声をかけている。また、長期の現場でも空き時間が発生することもあるため、紫のスケジュールの人にも確認をしている。
顧客情報管理の透明化で対応がスピーディーに
ANDPADボードはスケジュール管理以外にも業務効率化に役立っている。例えば、住所を共有することで現場に向かう時間を効率化できた。
以前は緊急で仕事が入ると、担当者は一度会社に戻り、顧客情報から住所を調べて現場へ向かうことが多かった。しかし、ANDPADボードを導入したことで、現場の住所がデータで確認できるようになった。その結果、緊急時には近くの現場にいる人に、すぐに声をかけられるようになり、より迅速な対応が可能になった。
また従来は、受注した案件は会社のシステムに残るが、受注していない案件や現場を見に行っただけの案件は記録されなかった。現在はANDPADボードを使って、そうした案件も一元管理されて見やすくなり、過去の情報も簡単に確認できるようになった。これにより、顧客情報の管理が改善された。
工務担当者が取引先へ打ち合わせに行った際に名刺を置いてくることはあるが、工事担当者が名刺を置いてくることは少ない。そのため、取引先から「先週来ていただいた方はどなたでしょうか?」と問い合わせがあっても、すぐに答えられないことがあった。
しかし、現在はANDPADボードを見れば、どの工務担当者や工事担当者が訪問したかが分かるため、顧客との接点を把握しやすくなり、対応がスピーディーになった。
今後の展望としては、高齢の社員のシステム活用を促し、報告機能や請求処理など、ANDPADの機能を全て使いこなしていくことだ。これにより、今よりもさらなる業務効率化を目指していく。