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施工管理の残業を大幅削減 協力会社の負担軽減にも成果 

株式会社甲斐冷機 様

従業員規模 21〜50名
利用機能
課題
  • 協力会社への情報共有で工事の業種ごとにメールを作成したり、連絡業務が煩雑で残業に直結していた
  • 写真や資料の整理・管理の仕方が属人化していた
  • 適切なDXツールの選定が難しく、どのツールが自社に最適で、導入後のサポートが手厚いかが不明確だった
効果
  • 写真や書類を一度アップロードするだけで、各工事業種の協力会社と一斉に情報共有が可能に
  • 現場写真の管理や日報作成がスムーズになり、残業時間が大幅に削減。写真データの移行作業も不要に
  • 一次・二次の協力会社間でも情報共有がスムーズになり、協力会社の業務効率化にも繋がった

この4月より建設業にも残業時間の上限規制が適用され、各社が対応に追われている。だが地域の空調・冷熱設備工事会社において、準備を万端に整えてこの時を迎えられたところは、多くはないのではないか。生産性向上に資するDXツールも、様々なツールが乱立する中で、自社に最適なツールはどれなのか、導入後のサポートが手厚いのはどれなのか等、不分明なことは多い。そうした中、ダイキン工業の特工店であり、空調・換気・給排水衛生設備の管工事全般を請け負う甲斐冷機(社長=甲斐健一郎氏、大阪本社・大阪府大阪市東淀川区大桐1−4−10)は、その先見性から働き方改革に早くから取り組み、DXにも実効を上げている。中でも、現場の社員に加えて、協力会社の負担軽減にも成果を上げているのが、クラウド型建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」(開発・販売元=アンドパッド〈社長=稲田武夫氏、本社・東京都千代田区神田練塀町300〉)だ。本稿では甲斐冷機におけるANDPADの活用事例を通し、ユーザーの生の声を紹介する。

 

株式会社甲斐冷機のご紹介

甲斐冷機は1967年の創業から57年にわたり事業を展開する老舗工事会社。大阪本社のほか、東京支社、福岡営業所を展開し、各都市を起点として広域に需要に対応。飲食店等の店舗設備工事を事業の中心に据え、エンドユーザー直需案件のほか、内装工事会社や店舗設計会社の協力案件も数多く手掛けている。

同社の営業エリアは広く、近畿圏を中心とする大阪本社は、西は岡山や四国、東は愛知まで対応し、また東京支社からは関東圏を中心に北陸地域にも対応する。売上の比率は、大阪本社が70%、東京支社が25%、福岡営業所が5%。社員数は32名で、そのうち直接工事に関わる工事部の社員は27名。工事部には、エアコン設置工事を手掛ける工事課(大阪本社のみ)のほか、施工管理課、設計積算課が所属する。

甲斐冷機は甲斐健一郎社長の旗振りのもと、社員の労働時間短縮のため、業界に先行して働き方改革に取り組んできた。ANDPADの導入もその一環。同社取締役執行役員の田良尾祐也氏は、今回の残業上限規制への対応としても、働き方は「既に改善できている」と自信を見せる。

当初、働き方の改善を進めるに当たり、いきなり残業時間を上限規制内に収めるのは、仕事を断わりでもしない限り難しいと考え、「まずは5分でも10分でも、残業を減らしていくことが先決」(田良尾取締役)との姿勢で、できることから一つひとつ見直していった。施工管理課では、例えばPCをデスクトップからノートに変更したことも大きな変更点。これにより事務所に戻らずに、現場での空き時間にPC作業ができるようにした。またDXツールに関しては、同社は以前から社員にスマートフォンを支給しており、ANDPAD導入以前から、写真や書類等のデータを保存・共有するアプリを活用していたが、建設業界に特化したものではなかった。そのためアプリでの情報共有は社内のみにとどまり、「協力会社への情報伝達には、工事の業種ごとにメールを作成したり、写真共有にはオンラインのサービスを用いたりしなければならなかった」(同)。こうした連絡業務が残業に直結していたわけだが、そうした中、同社はテレビCMをきっかけに、建設業に特化したANDPADの存在を知る。問い合わせてみると、「写真や書類も含めた情報を一度ANDPADに上げるだけで、各工事業種の協力会社と一斉に共有できる」(同)ことが分かった。また導入企業数が当時から1位(現在も6年連続シェア1位)だったことも安心材料となった。ANDPADは当時から建設会社では広く利用されていたものの、設備業界では普及していなかったが、設備業界での普及に取り組み始めていたこともあって、今後の普及を予想して導入を決断した。導入後、当初の見込み通り、各協力会社と情報を一斉共有できることによる効果は大きく、業務は劇的に改善し、残業時間も大幅に減少した。また各工事業種で工事進捗状況をリアルタイムに把握できるようになったことで、協力会社も自社の出番がいつのタイミングになるかが見通せるようになった。加えて、今では設備業界での普及も進み、甲斐冷機の協力会社の中にも、他の元請案件でANDPADを使用しているところも出てきている

 

同社がANDPADを導入したのが2020年11月。3年半が経過する中、今では同社の工事部社員はもとより、80社以上の主要協力会社がアカウントを登録し、使用している。導入当初、同社社員のほとんどはこうした施工管理アプリの存在を知らなかったものの、同社は平均年齢が30代前半と若い社員が多く、スマホへのアプリ導入にも慣れていたため、スムーズに浸透。ただ協力会社にはスマホの操作に慣れていない職人も多く、思うように浸透しなかった。そこで、とにかくANDPADを使ってもらうよう呼び掛け続けた。例えば協力会社から工事情報の問い合わせを受けた時にも、これまでのようにメールで情報を送らずに、「ANDPADを見て」と伝え、極力ANDPADを参照してもらうようにした。また、スマホを使い慣れていない人には同社社員がアプリの導入も支援。こうした取組により、徐々に協力会社にも浸透していった。ただ、今でも協力会社によって利用頻度に偏りがあるため、同社はスマホを使い慣れていない人にも簡単に使えるようにしてほしいと、更なる改良に期待をかけている。

各業種の協力会社と一斉情報共有

現在、甲斐冷機において一番使用頻度の高い機能が、案件ごとに資料・写真を共有・管理する機能だ。資料はもっぱら同社がアップし、現場写真に関しては協力会社もアップしている。同社の社員は、その現場写真を使用してANDPAD上で日報を作成することで作業効率を向上。また、現場写真は撮影後、即座にANDPADにアップされるため、これまでのように写真を撮影してから会社のハードディスクに移し替える作業もなくなった。更に、以前は担当者が変わってしまえば、どの案件の写真か分からないということも多かったが、ANDPADでは案件に紐づいて保存されるため、そうした属人化も解消された。加えて、現場の住所もグーグルマップと連動して共有される。以前は該当場所の地図をFAXしており、うまく伝わらずに問い合わせも多かったが、今ではそれもなくなった。こうした現場の住所等の情報は、同じ物件で異なる階や異なる種類の工事が発生した時にも、そのまま利用できる。同社は今後の事業成長の方向性として、保守メンテナンス分野を拡大し、新設から保守、更新工事まで、「トータルマネジメントを展開していきたい」(同社大阪本社経営管理部の池元弘佳係長)考えだが、そのためにもこの機能は非常に有用と見られる。

 

案件ごとの資料や写真を共有・保管で多様なメリット、メンテ分野の拡大にも有用

最近では協力会社から、その先の協力会社(同社からすれば二次下請けに当たる)のラインセンスを登録してほしいという依頼も増加。既に10社ほど、同社の案件を頻繁に手掛ける会社を登録しており、更に便利に使用できるようになった。具体的には、現場施工を担う会社が、工事の進捗状況を工程表やチャット、写真等でANDPADにアップすれば、案件に携わる関係者が一度に情報を共有できる。これにより一次・二次の協力会社間でも情報共有の連絡が不要になるため、「協力会社の業務効率化にも繋がっている」(田良尾取締役)。以前はそうした連絡は『伝言ゲーム』になりがちだったが、ANDPADならば取り違えもない。同社は今後も、そうした登録会社を増やしていきたい考えだ。

導入後のアフターサポートにも同社は高い満足度を示している。まず導入のタイミングで、東京と大阪で同社と協力会社を集めて説明会を実施し、その後も担当者が継続的に社内、協力会社での浸透をサポート。同社は毎月2回の社内ミーティングで挙がった使用上の疑問点や浸透に向けた課題をアンドパッド社の担当者に伝えているが、そのレスポンスも非常に速いという。

今後の要望としては、継続的にユーザーにヒアリングして機能面や使い勝手の面で改良を加えてもらうと共に、その費用設定にもユーザーの意見を取り入れてほしい考え。同時に、内装会社が元請となる協力案件も多く手掛けていることから、内装会社での導入も拡大してほしいと、期待を寄せている。

今後の展望

甲斐冷機が事業展開において最も重視するのは、「社員の人間性や社会性」(池元係長)だ。ここ3年発刊を続け、社員で共有している経営計画書でも、その点を強調。同社は経営理念において、『「もっと何か出来る」の精神』を基本姿勢にすると共に、常に顧客の立場に立った仕事を全ての基準とすることを説いているが、そうした姿勢のベースにも、社員の人間性・社会性がある。働き方改革―ひいてはANDPADによる効率化も、社員により高くモチベーションを持ってもらい、人間性・社会性をより一層充実させることに主眼が置かれている。それが中長期的な成長にも繋がると、同社は見ている。

 

(空調タイムス 2024年 5月29日号 掲載記事の転載)

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