都心エリアを中心に、1都3県でマンションの買い取り再販事業を展開するビーズネクサス(東京都渋谷区)。昨年、クラウド型の建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を導入した。移動時間の削減や現場写真の共有により、業務効率化と生産性向上が顕著に現れているという。同社品質管理課の福士浩行課長、リノベーション事業部の森田彩香チーフと半澤伽奈チーフにANDPADを導入した効果などを聞いた。
現場と事務所での情報共有が課題だった
同社では、マンションの専有部分を仕入れ、リノベーションした上で販売している。業務拡大により営業担当を5人から10人に倍増したところ、仕入れる案件に対してリノベーションの工事が追いつかない状況に陥った。同時期、親会社のベルフラッツからANDPAD導入の提案があり、問題の解決につながることを確信し、2022年の夏に導入した。
福士氏は「スマホで写真を撮影し、関係者に共有できるのが1番大きいメリットだ」と話す。その場で写真に修正点なども書き込んで共有できるため「リノベーション前の状況から工事進捗、竣工まで協力会社とのやりとりで大いに活用している」。また、工事進捗表も修正ごとにクラウド上で更新され、全ての関係者へリアルタイムに情報共有できる。「現場の問題点をその都度解消でき、工期も短縮される。工事状況が分かれば進捗会議も必要ない。営業担当者は現場に行く頻度が低くなる。その結果、営業活動に注力でき、案件数が増える」という好循環が生まれている。
工事進捗の可視化で工期を短縮
ビーズネクサスでは、営業担当者10人のうち8人が女性だ。森田氏と半澤氏も異業種からの転職だったが、ANDPADの操作や利用で不自由を感じることはなかった。
営業担当者は工事の合間を縫って現場へ出向いている。森田氏は「例えば工事完了間近の現場で、壁やフローリングの傷など気になった部分は写真を撮影し、その箇所に丸を付けてチャットで送る。設計や協力会社全ての関係者が内容を共有でき、素早く工事に反映してもらっている」と話す。同社では営業が仕入れから販売までを担当する。「自分が買い付けた物件は、常に工事進捗を確認し、いつでも販売ができるよう備えている」
半澤氏は「量産型ではなくカラーや素材、デザイン、ライフスタイルなど一つ一つにこだわったリノベーションを心掛けている」と話す。これらをスムーズに、かつ数多くこなすためには「ANDPADは欠かすことができないデジタルツールだ」とし、「将来的にはお客さまにANDPADで管理している情報を共有しながら、解体から完成まで作り上げるようなスタイルにしたい」とほほ笑む。
チャット機能で的確に指示
ANDPAD導入前は、打ち合わせに紙の図面を持参し、関係者とのやりとりは電話とメールだった。福士氏は「チャット機能で協力会社に指示できるため、非常に楽になった」と話す。また、「工程管理もできるので、現場に行く回数も移動時間も半減した」という。「協力会社もチャットでユニットバスなどの納入時期が分かるため、電話で確認する手間が省けている」
協力会社や取引先へのANDPAD導入もスムーズだった。協力会社やメーカー、問屋にシステムの利用を始める連絡を入れると、既に先方も使っており「やっと入れてくれたんだ、と逆に言われることもあった」と苦笑する。新規の協力会社はコストが掛かることを懸念していたが、協力会社には費用が発生することもないため「皆さん安心して使ってくれる」と話す。
経営に無くてはならないツール
導入は経営面でのメリットも生んでいるという。取引先との話し合いの場でも、ANDPADが活躍する。福士氏は「取引先の担当者には、ANDPADで工事の進捗状況を説明している」。会社が扱う全ての物件情報と、それぞれの進捗状況がデータとして入っているため、写真を見せて説明できる。「事実をていねいに、リアルな情報という形で紹介できるので説得力が違う」
ANDPADは業務効率化を実現させ、会社の発展にも寄与している。ビーズネクサスにとって、「無くてはならないツールの一つ」になっていることは間違いないようだ。
※本記事は2023年3月6日発行「建通新聞 不動産テック特集」において掲載された記事の転載となります。